Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

梅宮辰夫さんは白目に 十二指腸乳頭がんは黄疸で早期発見

梅宮辰夫さん(C)日刊ゲンダイ

 アンナさんの説明によると、梅宮さんは6月中旬ごろに全身がかゆくなったほか、白目の部分が黄色くなる黄疸が見られたといいます。黄疸がひどく、受診を勧められたそうですが、一連の症状はこのがんの典型といえます。

 胆汁の出口ががんでふさがれると、黄疸が早期から強く出やすい。黄疸はすい臓がんでも生じますが、こちらは早期に表れるとは限りません。そのため、十二指腸乳頭部がんは、すい臓がんに比べて早期に発見されやすいのです。強い黄疸だと、かゆみを伴いやすいのも特徴です。

■すい臓がんより経過良好

 梅宮さんのように早期発見なら、治療は手術が第一。その方法はすい臓がんと同じで、すい臓の右半分と十二指腸をすべて切除する「すい頭十二指腸切除」になり、胆のうや胃も手術対象になる大掛かりなもの。あらゆる外科手術の中でも大規模で、ご家族が事前に大手術になるとの説明を受けたのはそのためです。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。