おいしい季節こそご用心 鮮魚には寄生虫がこんなにいる

近年は「そのまま刺身」が人気だが…(C)日刊ゲンダイ

 寄生虫に詳しい東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏(感染症学)が言う。

「アニサキスによって起こる激痛は、アレルギー反応によるものです。1度目は問題なくても、2度、3度と繰り返すことで抗体が作られ、痛みを発症するようになります。胃に入った場合、多くは生食後6時間ほどで激しい腹痛を起こし、数時間続いた後には胃の粘膜からアニサキスが外れて痛みはなくなります。しかし、あまりの激痛に多くは救急搬送され、内視鏡でアニサキスを取り除く治療が行われます」

 胃を通過して腸にまで入り込まれてしまうと、さらに厄介だ。腸の粘膜に食らいついたアニサキスはなかなか外れないため、腸閉塞を起こして腸を切除しなければならないケースもあるという。

「アニサキスは、酢でしめても、わさびやしょうがと一緒に食べても死にません。70度以上で加熱するか、マイナス20度で24時間冷凍する必要があります。近年は解凍したものは味が落ちるといって、そのまま刺し身で食べる人が増えていますが、それだけリスクが高まっているといえます」

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