数字が語る医療の真実

がん検診で見つかりやすいがんは進行が遅い

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 がん検診についてよく聞かれる質問のひとつに、「何年おきに検診を受ければいいですか?」というものがあります。自治体で行われているのは、年1回というがん検診がほとんどです。「来年も受けなくてはダメでしょうか」とうんざりした顔で聞く人もいれば、「1年も放っておいていいのでしょうか」と不安な表情を浮かべる人もいます。

 検診を受ける間隔は、がんの進行の速さに関係しています。たとえば、1年くらいでアッという間に転移してしまうような進行の速いがんについては、1年では間隔が長いでしょう。逆に進行がんに至るまでに何十年もかかるがんでは、毎年検診を受けるのはナンセンスです。

 このことを1年ごとに受診する一般のがん検診に当てはめてみましょう。1年ごとのがん検診で見つかるがんは、1年以内で進行してしまうようなものは少なく、「より進行の遅いものが見つかりやすい」という現実があります。逆に、がん検診ではなく、症状が出てから見つかるようながんでは、より早く症状が出やすい進行の速いがんの割合が高くなるでしょう。つまり、がん検診で見つかるがんはもともと進行の遅いがんが多く、がん検診以外で見つかるのは進行の速いものが多いというわけです。

 前回も述べたように、症状発見が早いと生存期間が長くなるのと同様に、検診に効果がまったくないとしても、検診で見つかったがんの生存期間は、検診以外で見つかったがんよりもともと長いのです。

名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。