天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓に負担大 「ゴルフの突然死」を防ぐ

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 また、いったんコースに出ると、救命の態勢が整っていないことが多いのも、突然死が増える一因になっています。かつて、ある大手企業の社長がラウンド中に心筋梗塞で倒れてそのまま亡くなってしまったことがありました。その時も、その場で蘇生措置は行われず、次の組を回すために倒れた社長の周りに囲いを作っただけでした。万が一の場合に備え、どのような救命措置を行うかをシミュレーションしておくことは重要です。

 心臓疾患を抱えている人はもちろん、生活習慣病を指摘されている人がゴルフをする際には、以下のことを実践してください。①前日はしっかり睡眠をとって、服用している薬は飲み忘れない。②プレーする前にしっかりウオーミングアップをして急激な心拍数の上昇を防ぐ。③飲酒や喫煙をしてプレーすることは避ける。④水分補給や保温を心がける。⑤過度なプレッシャーがかかるような勝負はしない。

 リスクを減らしながら、楽しくプレーしましょう。

4 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。