Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

片岡鶴太郎さん報道で考えた がんリスクが最も高いのは?

片岡鶴太郎さん(C)日刊ゲンダイ

 ベジタリアンはヘルシーなイメージがありますが、菜食主義者ががんになりにくいということではありません。動物実験の結果ですが、肉も野菜も食べる雑食ネズミは、野菜のみの菜食ネズミより2倍近く長寿です。

■高齢者でも肉を

 南カリフォルニア大学の研究によると、66歳以上だと、多くのタンパク質を摂取したグループは少ないグループに比べてがんによる死亡率が60%も低く、全死因の死亡率も3割近く少なかったことが分かっています。高齢者ほど適度な肉の摂取が大切なことがうかがえます。

 肉食文化が定着し、若者では大量の肉を取る人がいますが、高齢者の動物性タンパク質の摂取量は欧米よりはるかに少なく、大豆はじめ植物性タンパク質の量が多くなっています。高齢者がことさら肉の摂取量を減らすことはありません。肉も野菜も炭水化物もバランスよく食べるのが一番です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。