一時期、コイル塞栓術がクローズアップされたが、いまはどうか? 緊急を除いておよそ半年待ち。脳動脈瘤手術では、「神の手」の評価を持つ「昭和大学病院・脳神経外科」(東京・品川)の水谷徹主任教授が言う。
「『開頭クリッピング術』とコイルを利用した『脳血管内治療』の手術件数比率は、だいたい2対1です。ただ、クリッピング術は下降の傾向にあり、逆にコイル術が上昇の機運にあります。私の場合、どちらの手術を選択するかは、まず患者の『安全性』『確実性』を最優先にして判断しています」
コイル塞栓術がクローズアップされたきっかけは、破裂脳動脈瘤に対して両者を前向きに比べたISAT試験。「どちらを選ぶか明確でない動脈瘤には、コイル塞栓術を選択すべき」と結論づけたからだ。
■両方の技術を持つ医師が理想
しかし、その後ISAT試験にはいくつかの疑問が投げかけられた。たとえば「ISATに用いられた開頭クリッピング術の成績が日本のそれに比べて大きく劣っている」「発症から手術まで3日以上も経過していた」などだ。