天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

乳がん手術後に放射線治療を受けている患者さんのケース

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 なぜ、ここまで大がかりな手術をしなければならないかというと、乳がん手術後の放射線治療による石灰化から起こった心臓病というのは、「中途半端に終わらせると、術後1カ月以内の死亡率が非常に高くなる」というデータがあるからです。放射線と癒着の影響で心臓が広がりにくくなる拡張障害が起こっているため、適当なところで手術を終わらせて病気を残してしまうと、血圧がきちんとコントロールできなくなるなどして悪化しやすくなります。「まあこんなところでいいか」で済ませると、大きなしっぺ返しがくるのです。こうした患者さんは決して多いわけではありませんが、平均で年間2人ほど手術をしています。たしかに大変ではありますが、すべてしっかり終えて、患者さんが見違えるほど回復していくと、大きな手応えを感じます。

4 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。