弁膜症の手術といえば、先日、81歳の女性患者さんに3度目の弁置換術を行いました。足かけ23年ほどの間に、すべて私が執刀した患者さんです。
ご本人も慣れたもので、「また、先生にお世話になります。お願いね」と落ち着き払っていました。
最初の手術は、23年ほど前で、僧帽弁を機械弁に交換しました。それから8年ほどたった頃、交換した機械弁に血栓がたまってしまい、今度は生体弁に交換する手術を行いました。
機械弁は耐久性が高く頑丈ですが、生体構造とはかけ離れた“異物”なので弁の周辺に血栓ができやすくなります。術後に血を固まりにくくする薬を服用しますが、それでもやはり血栓はできやすくなってしまいます。
一方の生体弁は、ブタや牛の弁などを人間に使えるように処理したもので、生体構造に近いことから血栓ができにくい利点があります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」