「一般の方は、保険診療の範囲で治療法を選択しますが、保険が利かず全額自己負担の高度先進医療なども含めて選択するのがVIPです」と言うのは、医学博士の左門新氏だ。
3年前に転移性肝がんで亡くなった昭和の大スター菅原文太(享年81)は、07年、原発の膀胱がんに対して筑波大付属病院で先進医療の陽子線治療を受けている。陽子線は一般の放射線より腫瘍に集中的に照射でき、なおかつ正常組織へのダメージは少ない。亡くなるまで7年間、芸能活動のほか農業などにも積極的だったから、治療の成果は十分だろう。
が、その費用は当時、285万円。現在は293万円だ。がん保険の先進医療特約に加入していなければ、一般人には手を出しづらいだろう。
薬もそうだ。国内で未承認の薬を海外から取り寄せて使うとなると、全額自己負担。一時、年間の薬代が3000万円とベラボーな薬価が話題になったオプジーボみたいな抗がん剤を取り寄せることは一般人にできるはずがないだろう。
VIPと病院の怪しい舞台裏