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スマホで服用チェック 米で初認可の“デジタル錠剤”に賛否

 ところが、このデジタル錠剤は手放しで歓迎されているわけではなく、メディア報道では批判も目立っています。最大の理由はプライバシーの侵害。政府や保険会社が患者の情報を簡単に得ることができるようになり、彼らにとって有利に利用される可能性もあるからです。

 以前、心臓ペースメーカーなどのハッキングの危険性についてお伝えしましたが、この錠剤も同様でハッカーに狙われる可能性が小さくありません。さらに、医師が患者に服用を強制することになり、患者の自由が失われたり、医師との信頼関係が悪化するという意見もあります。

 アメリカでは、ほかにも同様の治療薬、治療法が認可を待っています。今後、さらなる研究開発が進むとともに、患者の自由やプライバシーをどう守っていくかの論争が激しくなりそうです。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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