数字が語る医療の真実

敗血症にはビタミンCとB1が有効との最新研究が

ビタミンCといえばみかん(C)日刊ゲンダイ

 かっけにおける高木兼寛の研究は、洋食を導入した前後で戦艦の乗組員のかっけがどれくらい予防できるかというものでした。これは「介入前後研究」と呼ばれ、現在でもしばしば用いられる方法です。ただし、治療効果評価の王道であるランダム化比較試験に比べて、バイアス(考え方や意見に偏りを感じさせるもの)の影響を受けやすいという決定的な問題があります。高木らの研究に対して、森林太郎が指摘したのはまさにこの点でした。かっけの予防効果が、日本食を洋食に変更したためというには、かっけが多発した戦艦「龍驤」とかっけがほとんどなかった「筑波」において、日本食、洋食以外には何一つ違いがあってはいけないわけです。他に何か違いがあれば、かっけ予防の効果は食事の違い以外の違いによるものかもしれないからです。

 こうした隠れた因子の違いを除くことができる点で、ランダム化が用いられるようになったのですが、すべての治療効果がランダム化比較試験で検討されるべきというわけでもありません。ランダム化比較試験が行われなくても、かっけに対する洋食、麦飯やぬかの効果はすでに明らかだったことをここまで長々と書いてきたわけです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。

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