末期がんからの生還者たち

S状結腸がん<1>当初は痔を疑い…診察した医師の第一声は

岡田隆さん(提供写真)

 しかし、あまりにも長く続く血便に若干の不安を持ち、一度精密検査を予約した。だが、会社の上司の人事異動などもありキャンセルした。 

 職務多忙で、平日はなかなか休みがとれない。それでも、妻から背中を押されて、土曜日に診療していた東京・池袋の胃腸科クリニックを訪ねた。

 自覚症状を話し、内視鏡検査を受けた後、診察した院長の第一声はこうだった。 

「いつから、これほどになるまで放っておいたのですか!」 

 長さが約2メートル(上部から結腸、直腸、肛門)の粘膜に発症する大腸がんは、進行するにつれて大腸の壁に侵入し、やがてリンパ節や肝臓、肺などにも転移する。

 大腸がんの病期は、5年生存率100%の0期から、2人に1人といわれるⅣ期までの5段階に分けられる。岡田さんの病期は、リンパ腺にも転移していた末期に近い「ステージⅢb」であった。 

 同クリニックから紹介状を書いてもらい、急ぎ「虎の門病院」(東京・港区)の外来へとなった。以後、20年に及ぶがんとの格闘が始まる。

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