滑る靴は転倒・転落を引き起こし、思わぬ死亡事故につながる可能性もある。実際、厚労省が発表した「不慮の事故死」の数は、交通事故のそれを大きく上回っている。
「中高年が特に注意しなければならないのは衝撃の緩和です。膝や腰を痛めることもある。人は歩くとき、かかとで着地して足の外側に体重を移動して最後に親指で蹴ることで前に進みます。このとき足が接地するごとに片足に体重の1・5倍の衝撃がかかります。走るときは3倍、ジャンプすると体重の7倍の負荷がかかるともいわれます」
こうした衝撃を受けると人は無意識のうちに関節を動かして衝撃を和らげる。膝に比べて足の関節が多いのはそれだけ足に衝撃がかかるからだ。
「その衝撃に耐えるために、さらに足根部で内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチが強く結びついて土踏まずをつくっています。そうすることで、足に必要な蹴り出す力を伝えるばねの機能、衝撃を緩和するクッションの機能、さらには足底の筋肉や神経を守る防御の機能を保っているのです」