天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「不眠」「睡眠薬」「心臓疾患」は密接につながっている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 これまで何度かお話ししていますが、睡眠と心臓疾患には深い関係があります。

 1日の睡眠時間が5時間以下の人は心臓疾患の発症率が上昇し、4時間以下になると冠動脈性心疾患による死亡率が上がることがわかっています。睡眠不足になると交感神経が優位になっている時間が長くなり、神経伝達物質のアドレナリンが大量に分泌されます。アドレナリンは心拍数を増加させたり、血流を増やして血管を収縮させるため血圧が上昇し、心臓の負担が増えて疲弊したり、動脈硬化が促進されてしまいます。睡眠不足が血圧を上昇させ、それが心臓疾患につながるのです。

 また、血圧が高い人は睡眠薬に依存しているケースが多い印象です。高血圧の人は不眠に悩んでいる場合が多いという報告もあります。血圧が高くて眠れない、もしくは眠れないから血圧が高くなることで、どうしても睡眠薬に頼る人が多くなるのでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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