Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

星由里子さんは無症状…肺がん胸水対策はまず「水を抜く」

星由里子さん(C)日刊ゲンダイ

 胸水が大量なら、ドレーンという管で胸水を持続的に抜きます。繰り返し胸水がたまる方には、胸膜癒着術を行うこともあります。風船と風船の間を癒着させる薬剤で、水がたまるスペースをなくすのです。癒着術により、速やかに抗がん剤治療に取りかかることができることもあります。

 肺がんには、いくつかのタイプがあり、胸水を起こしやすいのは、肺の奥にできる肺腺がんが典型的。肺腺がんは喫煙との関係が薄く、女性に多い肺がんとして、最近注目されていて、肺がん全体の6割近い。

 歌舞伎役者の中村獅童さん(45)は昨年5月、毎年受けている人間ドックのエックス線検査で肺腺がんが見つかりました。「奇跡的といわれるほどの早期発見で、すぐに手術をすれば完治できる」と主治医に説明され、ホッとされた様子が伝えられています。エックス線検査なら自治体の肺がん検診で受けられますから、ぜひ受診してください。それが今回の教訓です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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