NHK朝ドラで注目「ムンプス難聴」 医師が説く唯一の回避策

「人工的なのはNG」とワクチンを受けさせない親もいる(C)共同通信社

 さらに、「片側の耳が聞こえるのだから問題ない」という考え。確かにムンプス難聴の多くは一側性難聴だが、両側性難聴のリスクがゼロでないのは前述の通りだ。加えて、一側性難聴であってもさまざまな困難がある。

「難聴側の音が聞こえづらい。いろんな声や音が飛び交う場所では聞こえづらい。音がどこから聞こえてくるか分からない。グループで話すと相手の話を聞き取れない。“無視された”と友人から言われることが続き、自分に自信がなくなったり、引っ込み思案になることもあります」

「半分、青い。」の鈴愛は、おたふくかぜらしき症状がなく、耳が聞こえなくなった。おたふくかぜの典型的症状は耳の下の腫れだが、3割程度は鈴愛のように、症状がほとんど出ない「不顕性感染」。不顕性感染でも、難聴リスクがある。

 また、発症年齢によっては自分から「耳が聞こえない」と言い出すことがないため、何カ月、何年も経ってから親が気づくケースもある。そうすると、生まれつきの難聴か、ムンプス難聴かの区別がつかない。専門医の中には、「報告されている発症率より、実際はもっと多いのでは」と指摘する人もいる。 

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