クスリと正しく付き合う

緑内障の目薬をまつ毛美容液として使用するのはリスク大

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ルミガンの臨床試験時の結果では「46%にまつげの異常(伸展)が見られた」と報告されていて、実際に緑内障の治療をしている患者さんのまつげが伸びているのは事実です。このまつげ伸展の副作用を利用して、美容目的で使っているわけですが、乱用以外の何物でもありません。

 自己責任で使用する分には構わない、という意見もあるでしょう。しかし、ルミガンには色素沈着や結膜炎といった他の副作用もあります。眼圧が下がりすぎると眼球がしぼんで、視界が不安定になります。そうしたリスクを十分に理解し、単にまつげが伸びるだけのオイシイ話ではないことを分かった上で使っている人はほとんどいないでしょう。

 本来の目的から外れた医薬品の使用は危険なのです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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