Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

死亡率が低い女医の患者 その対応力は男性医師も学ぶべき

女性は説明が丁寧(C)PIXTA

 事前の予測では、「性差なし」とみられていましたが、結果は紹介した通り。女性医師の方が、男性より治療結果が上回っていたのです。

 この研究結果が見逃せないのは、男性医師と女性医師で担当している患者の重症度を同レベルにそろえていること。調査の信頼性が、きわめて高いのです。

 私の部下は、およそ3分の1が女性。放射線治療分野に特化して、男女の実力を比べた調査はありませんが、みんなとても優秀です。万が一、私が患者として放射線治療を託すなら、個人的に女医に診てほしい。正直、そう思います。

■ガイドラインの説明ならAIで十分

 では、なぜ男女の医師で治療結果が変わるのでしょうか。がんはもちろん、いろいろな病気で研究結果にもとづいたガイドラインの作成が進んでいます。どこにいても、同じ状態の患者なら、同じ治療が受けられるようにするためです。そうすると、男女で差はないはずですが、違っていました。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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