がんとは何か

早期発見のカギは“がんのささやき” miRNAの意外な役割

血液で13種類のがんが早期発見できるシステムを開発中(国立がん研究センター)/(提供写真)

 マイクロRNAは、やはりRNAから切り出されたもので、メッセンジャーRNAにくっついて遺伝子発現調整に関わることが分かっている。

 一方、エクソソームは脂質で囲まれた風船のような顆粒状の入れ物。中にメッセンジャーRNAやマイクロRNAなどを積み込み、周辺の細胞へ送り出す。そして、運んだ先の細胞と融合する。これを水平移入という。

「さまざまな細胞は、エクソソームを介して周辺の細胞と会話をしています。がん細胞も同じで、がん細胞が増殖していく上で有利になる分子を積み込んで周辺の細胞に移入することで、“ボクは敵じゃないよ”“仲良くして”とささやき、周囲の細胞が味方になるように教育していくのです。その結果、がんが増殖・転移しやすい微小環境を整えるのです」

 がん細胞がせっせと作ってエクソソームに放り込み、周囲の細胞に渡すのは、増殖、浸潤、転移といったがんの悪性化を促進する因子や、がんが生着しやすい微小環境を整える分子だ。

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