実際に中学時代に教師から「これが恋愛」と思い込まされ、性的虐待を受けた女子高生は、この治療で苦しみから解放されたという。記者も30分ほどEMDR療法を受け、自分が抱えていたある記憶を客観視できるようになり、その苦痛度が減じることを体験できた。
ちなみにPTSDの症状は主に4つある。フラッシュバックや悪夢などの「再体験」、トラウマの引き金となる場所や思いを避けるための「回避」、不眠になったり、神経が高ぶる「過覚醒」、自他に対するネガティブな考えや、情動不安定、抑うつ、感情麻痺など「認知と気分のネガティブな変化」である。
■「過去」てはなく「今」の自分を変える
「トラウマ治療というと、こうした症状が出ないように、過去の記憶を消したり変えたりすると思っているかもしれませんが、間違いです。トラウマから回復するということは、過去を変えることではなく、あくまでも過去の心の傷に影響を受けている『今の自分』を変えることなのです」