Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

石田信之さんは手術8回 できやすい重複がんの組み合わせ

石田信之さん(C)日刊ゲンダイ

 石田さんも、そんな大腸がんの特性から、大腸と肝臓の腫瘍を切除されたのでしょう。胃がんも切除したことから、胃がんは恐らく早期だったと思われます。つまり、大腸がんの発生からかなり時間が経過して、新たに胃がんができたと考えていいでしょう。

 大腸がんと胃がんの重複は報告によって3~10%。大腸がんの方は、念のため胃がんの検査もすべきですし、逆もまたしかりです。「咽頭がんと食道がん」「喉頭がんと肺がん」の重複も珍しくありません。どちらかのがんが見つかったら、もう一方のがんを想定した検査を受けておくべきです。

 がんの数が多いと、怖いかもしれませんが、1個でも複数でも、がんは早期発見、早期治療に尽きます。早期なら、その分、根治できる可能性が高まるのです。がんをインベーダーに見立てて、見つけたらすぐに治療する積極的に闘う姿勢は、重複がんの治療には、きわめて有効。

 鳥越さんのケースもありますから、あきらめないことです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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