Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

石田信之さんは手術8回 できやすい重複がんの組み合わせ

石田信之さん(C)日刊ゲンダイ

 ブログなどによると、肝臓がんは大腸がんからの転移で、胃がんはまったく別に発生したものでした。つまり、大本のがんは大腸がんと胃がんの2つ。このような別々のがんを重複がんといいます。

 転移がんは、大本のがん細胞の一部が流れ着いたもので、その性質は元のがんと同じ。石田さんのケースでは、肝臓がんは大腸がんの性質を受け継いだと考え、肝臓がんの治療は原発の大腸がんの治療を踏まえます。

 ポイントは、最初のがんが大腸だったこと。一般に進行がんは手術をせず、放射線や抗がん剤で治療しますが、大腸がんは別で、転移があっても少数なら積極的に手術をします。珍しいがんなのです。

■胃と大腸は10%、もう一方も検査を

 ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(78)は05年に大腸がんを手術で克服したのに続き、肺や肝臓への転移も切除。転移するたびに手術を繰り返し、完治しています。胃がんや肺がんのステージ4だと、そうはいきません。大腸がんは、進行しても可能なら手術。ぜひ、皆さんも頭に入れておいてください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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