リスクを下げる働きも「お酒」と「脳卒中」の不思議な関係

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「日本人の栄養状態が悪かった時代の脳卒中は出血性脳卒中が多かったのですが、現在は栄養状態が改善し、虚血性脳卒中が増えています。虚血性脳卒中には、動脈硬化で狭くなった脳の太い血管の中に血栓ができて血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞、脳の細い動脈が徐々に詰まるラクナ梗塞、心臓でできた血栓がはがれて飛んで脳の動脈を塞ぐ心原性脳梗塞の3種類があります。以前に比べ、ラクナ梗塞が減少して心原性脳梗塞が増えていますが、適度なお酒は脳梗塞のリスク、とくにラクナ梗塞リスクを減らすことが報告されています」

 日本でその報告をしているのが多目的コホート研究「JPHC Study」だ。長期にわたる観察型の疫学研究であるこの研究は、全国12地域、14万人強を対象にしたもので、「飲酒」「食事」「喫煙」「運動」などの生活習慣が病気や生活の質にどのように影響するかを調べている。それによると、出血性脳梗塞の発症率と飲酒量との関係は右肩上がりの直線的な正の相関関係にあるものの、虚血性脳卒中の発症率と飲酒量の関係はJカーブ現象が見られた。お酒を飲まない人に比べて適度にお酒を飲んでいる人は虚血性脳卒中の発症率は低く、お酒を大量に飲んでいる人はその発症率は高かった。

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