■ウイルスに感染しても95%以上は発症しない
ATLという病気は、HTLV―1への感染が原因であることが分かっています。このウイルスの感染経路は、主に母親から子供への母乳を介する母子感染で、空気感染はしません。ほかに輸血や性交などによる感染があります。最近は、妊婦健診でHTLV―1抗体検査が行われるようになり、陽性者(キャリアー)の授乳制限などで子供への感染を予防できるようになりました。
ATLを発病していないキャリアーは、人口の流動化によって九州・西南沿岸地方だけでなく、関西、首都圏など全国に広がっています。最近は母子感染予防対策などによって、新たにキャリアーとなる方は減少していますが、それでも全国で約100万人と推定されています。
ただ、キャリアーになったからといって過剰に心配する必要はありません。なぜなら、キャリアーになったとしても95%以上の方はATLを発症することなく、何事もないまま一生を過ごします。つまり、ATLを発症する方はごくわずか数%なのです。
がんと向き合い生きていく