人生100年時代を支える注目医療

あと1~2年で実用化 光免疫療法でがん治療は大きく変わる

土井俊彦副院長兼科長(提供写真)

 治験は頭頚部がんを対象に行われている。光免疫療法の仕組みを簡単に説明するとこうだ。がん細胞の表面に比較的多く発現するEGFRというタンパク質がある。そこに結合するのが「EGFR抗体」で、分子標的薬のセツキシマブはその働きを応用して、がんを選択的に攻撃する。

 しかし、光免疫療法ではEGFR抗体に光増感剤(IR700)を付けた薬を点滴で投与する。IR700には、近赤外線を当てると熱を放出する性質がある。つまり、EGFR抗体はIR700をがん細胞まで運ぶ「運搬車」の役割をする。そして、がんのある部分に近赤外線を当てると、IR700と結合したがん細胞だけが反応し、熱でがん細胞の膜が破けて死滅する仕組みだ。

■早期がんの手術代わりになる可能性も

 では、「光」に「免疫療法」が付いているのは、どういうことなのか。

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