意外に知らないホルモンの実力

女性ホルモンが減少する閉経後も乳がんを発症するのはなぜ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そして排卵後はプロゲステロンがピークを迎える。厚くなった子宮内膜をさらにフカフカなベッドに整えて、受精卵が着床しやすいように準備する。しかし、排卵後、約2週間経っても受精卵がやってこなければベッドは不要になる。子宮内膜の壁がはがれて、血液と一緒に排出されるのが“月経(生理)”だ。

 プロゲストロンの多い時期は、精神的不安定や腹痛、頭痛、だるい、眠気など体調が悪くなることが多い。重症化すると「月経前症候群」と呼ばれる。また、女性ホルモンは病気の抑制や発症に大きく関係する。

「女性ホルモンは妊娠・出産で不足しがちのカルシウムを補いやすくするため、カルシウムの吸収を促すビタミンDの作用を増強し、骨をつくる細胞も活性化させています。それに血管を丈夫にして、動脈硬化や血栓ができないようにする作用も備えているのです」

 そのため、女性ホルモンが急激に減少する閉経後は、これらの防御作用がとれて骨粗しょう症や脳・心血管障害の発症が増えるのだ。一方で、女性ホルモンは乳がんの発症を促す。では、閉経後も乳がんの発症が多いのはどういうことなのか。

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