後悔しない認知症

親がボケた!「絶望」「諦め」「怒り」「愚痴」すべてダメ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「うちの親、なんか変だぞ」

 高齢の親をもつ40代から60代の世代は必ずそんな思いを抱くときがくる。代表的な「変」が「物忘れ」である。「あれ、どこに置いたかな?」と問う親に「あれって、なんだよ」と聞き返す子ども。それに対して「だから、あれだよ、あれ!」。こんなことが頻繁に起こる。具体的な名前が出てこなくてすぐに指示代名詞を使うようになり、さらに置いた場所も思い出せなくなってしまう。記憶力の低下という「変」である。

 また、生活態度にも「変」が生じる。オシャレだった親が服装に無頓着になる、好きなゴルフをやめてしまう、毎日読んでいた新聞を読まなくなったりする。さらには、穏やかな性格だったのに怒りっぽくなったり、明るい性格だったのに塞ぎ込むことが多くなったりといった性格の変化も見えてくる。そんな親の「変」を見て子どもは「ボケた」とため息をつく。こうした高齢の親の記憶力の低下、行動や性格の変化に気がついたら、子どもはまず認知症の初期症状かもしれないと考えたほうがいい。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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