Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

白血病は抗がん剤が効きやすい 治癒率が8割超に上る種類も

2018年のジャパンオープンでは5冠!(C)日刊ゲンダイ

 急性は熱やだるさなどの症状がつらく、検査の結果、診断されることがありますが、慢性は自覚症状に乏しい。健康診断を受けたり、別の病気で血液を調べたりして、判明することが多い。コーチの話や受診の状況から推察すると、池江さんの白血病は、急性なのかもしれません。

 練習中に「肩で呼吸をする」というのは、白血病による貧血だった可能性があります。白血病になると、酸素を全身に運ぶ赤血球が不足。それで貧血になることがあります。酸素供給が欠かせない競泳選手の練習中だとすれば、より息苦しさを感じるでしょう。

 さらに白血病細胞の性質によって、骨髄系の細胞の骨髄性白血病とリンパ球系のリンパ性白血病に分類されます。つまり、急性と慢性のそれぞれに骨髄性とリンパ性があり、全体では4つに大別されるのです。

 急性白血病では、成人の8割、小児の2割が急性骨髄性白血病(AML)で、成人の2割、小児の8割が急性リンパ性白血病(ALL)というのが日本の急性白血病の状況です。ALLは小児に多いのが特徴。AMLは大多数が成人で、発症年齢の中央値は60歳に上ります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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