「旬(しゅん)」とは、その食材がもっともおいしく食べられる時期のことを指す。そして食材とは、それが動物性にせよ、植物性にせよ、すべて生物に由来するものであるから、もっともおいしい時期とは、その生命体がもっとも充実した生を送っている瞬間、ということになる。
そして月の上旬、中旬、下旬というとおり、本来旬は10日間を意味する。輝ける時は短いのだ。私たちはそれをいただくわけだから、まずは自然に対する感謝と畏敬の念が必要である。
さて、今回の旬の食材はアスパラガス。この名前は「新芽」を意味するラテン語に由来する。植物が、まさに今、芽吹くための栄養素を一身につくり出している時だ。うま味を呈するアミノ酸にアスパラギン酸がある。アスパラガスから発見されたゆえである。ほろ苦い、しかし深みのあるアスパラガスのおいしさの秘密は、たっぷり含まれているアスパラギン酸をはじめとするアミノ酸の風味に由来するところが大きい。新たな春の訪れとともに旬のおいしさを味わいたい。
ようこそ!不老不死レストランへ
【アスパラガスのグラタン】チーズの塩分だけで春の甘さを
最も充実した生を送っている瞬間のアスパラギン酸