実用化に期待大 繰り返す中耳炎に世界初「粘膜再生治療」

細胞シートで再生(提供写真)

 そこで小島医師らが考えたのが、再生医療だ。どちらの中耳炎も乳突蜂巣の粘膜に異常があるのが問題なので、ここに新たな粘膜を移植し、健康な粘膜を再生する。では、どこの粘膜を移植するか?

 理想は「耳」からだが、真珠腫性・癒着性中耳炎がある患者は、そもそも正常な粘膜が少ない。粘膜採取は手術で行うしかなく、患者への負担も大きい。

「ところが『鼻』の粘膜であれば、鼻血がちょっと出る程度で負担が少ない。外来で粘膜を十分量確保できる。そこで鼻粘膜を使った再生治療の研究が2004年から始まり、14年に臨床試験を開始しました」

 再生治療は、細胞がシート状になっている細胞シートを用いて行われる。培養皿に特殊な液を付着させ、鼻粘膜から採取した細胞を培養。細胞が培養した段階で温度を下げると、培養皿から細胞がまとまってシート状に剥がれ、細胞シートとなる。

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