■鼻の粘膜の細胞と血液を採取して細胞シートをつくる
患者への移植の流れはこうだ。外来で鼻の中に麻酔をし、鼻の粘膜から細胞と、培養時の栄養素である血清をつくるための血液を採取。
3週間後、細胞シートができるので、患者は入院して手術を受ける。先に真珠腫性・癒着性中耳炎の鼓室形成術を行い、続いて細胞シートを耳の粘膜に張る移植手術になる。鼓室形成術で2時間、移植手術で1時間ほど。入院は5~6日間。
今は花粉症の季節。花粉症をはじめとするアレルギー性疾患や蓄膿症などで鼻の状態が悪い人は、鼻の状態が良くなってからになる。また、この治療は成人のみ。
「臨床試験では28歳から62歳が対象。この時の例では9例が真珠性中耳炎、6例が癒着性中耳炎です。治療が終わったばかりの人もいるので今後の経過を見なければはっきりしたことは言えないが、現段階で再発はなく、感染症をはじめ問題は何も生じていません」
実用化までまだかかるが、気になるのは値段。昨年の段階では、実用化の場合、1例に400万円ほど必要という試算だったが、実際に世に出るまでにはかなりのコストダウンが図れ、100万円を切るまでにはいけるだろうとみている。
期待が高まる。