がんそっくり? 認知症発症メカニズムの輪郭が見えてきた

個人レベルでリスクの判別が可能に?(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

■個人レベルでリスクの判別が可能に

 人の名前を忘れたり、固有名詞が出なくなることは、多くの中高年が経験すること。「それはアルツハイマー病とは無関係」という医療関係者もいるが、亡くなった人の脳内のAβやタウの蓄積量と、認知機能を比べた研究では、アルツハイマー病を発症していない健康な人でも両者に相関関係があったという。

「中高年になると親しい人の名前を忘れたり、涙もろくなったりするのはタウタンパクが蓄積したり、Aβが大脳皮質にたまっているせいかもしれません」

 実は、樋口氏は2013年に世界で初めて生体の脳内のタウタンパク質の蓄積をPET(陽電子断層撮影法)で可視化した人物。アルツハイマー病がタウの海馬への蓄積から始まるのなら、それを知る方法はないのか?

「現在、『タウPET』の研究と実用化が進んでいます。完成すれば、個人レベルでアルツハイマー病リスクを判別できるようになるかもしれません」

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