がんと向き合い生きていく

専門医なのに自分のこととなるとおたおたするだけだった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 先日、大腸内視鏡検査を受けたときのお話です。

 3週間ほど前から、便通が悪く、便が残っている感じがあって、すっきりしない状態が続いていました。便を軟らかくする薬を飲むと、今度は便が細くなってきた気がします。頭の中ではどうしても大腸がんがあった場合を想定してしまいます。腸を動かす作用がある薬は、がんがあって腸が細くなっていると激痛になってしまう心配があるため、使いにくかったのです。普段よりも食べられず、すぐに腹満感がきます。触った自分の腹には腫瘤はないのですが、結局、消化器内科の医師に診察をお願いして、内視鏡検査の予定を立ててもらいました。

 3日後に受けた胃内視鏡検査は問題ありませんでした。次はいよいよ1週間後の大腸内視鏡検査です。

「きっとがんがあるのだろう。手術を長く待たされるのだろうか? こんな便通異常を手術までガマンするのは、患者にとっては大変なことだ。でも、緊急手術しなければならない状況ではない。この落ち着かない態度はどうしたものだ。この意気地なし。怖がり。それでもおまえは医者か?」

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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