がんと向き合い生きていく

かつては日本版の「看取りのパス」が使われていた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 少し前のことですが、ある複数の緩和病棟でとても気になることがありました。「標準化、効率化を最優先にしたのではないか」と思ったのです。

 病院では「クリニカル・パス」(以下パス)というものが使われています。たとえば、あるがんの手術で入院した場合、同じ病期なら、同じ検査をして、同じ手術が行われ、同じ日程で退院するようなスケジュールが組まれたものです。これによって検査などの漏れがなくなり、患者にとっては前もって予定が分かります。標準化や効率化として良い方法のひとつだと思います。

 こうしたパスのひとつとして、イギリスでは2003年ごろから一般病院やナーシングホームなどで、死が近い患者に対して「看取りのパス」(リバプール・ケア・パスウエー)が使われました。慣れていないケアを行う人のために、すべてを同じチェック項目で同じ手順とすることで、ケアの質を上げるというものです。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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