看護師僧侶「死にゆく人の心構えと接し方」

「延命治療拒否」の遺言があると病院の対応が違ってくる

(C)日刊ゲンダイ

 遺産相続で、残された家族がトラブルを起こさないように「遺言状」を書き残す。

 高齢化社会である。遺書の書き方に強い関心が持たれてきているが、看護師にして僧侶、臨床宗教師の資格も持つ玉置妙憂さんが言う。

「遺産相続に関する遺書も大切でしょう。でも、自分の終末治療についても、遺言書として書き残しておくことも、意外と重要なのです」

「終末治療の遺言」がなぜ重要なのか。玉置さんは自らの体験を踏まえてこう口を開く。

 7年前、最愛の主人をがんで亡くした。「大腸がん」の手術から5年後、がんが再発し、「すい臓がん」「胆管がん」に転移。「余命3年」と告げられた時、ご主人は一切の治療を拒否したという。

「医薬品、点滴も断ったのです。理由は、もし入院したら、“残された私の仕事(カメラマンとしての作品整理)が出来なくなる”というものでした。仕事を完成させるために、余命のすべてをかけたのです」

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玉置妙憂

玉置妙憂

東京都生まれ、53歳。専修大学法学部卒業後、法律事務所に勤務。長男の重い病気が動機になり30歳の時、看護師資格を取得。46歳の時に、がん闘病の主人を自宅でみとった後、高野山真言宗に得度した。臨床宗教師としても講演、執筆活動を行っている。「大慈学苑」主宰。

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