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救急車を呼ぶほどの重症熱中症 病院が行う4つの全身冷却法

ジェルパッド循環冷却法(提供写真)

 高齢者の非労作性熱中症の場合、暑い日に急激に熱中症を起こすのではなく、連続する猛暑や熱帯夜によって徐々に脱水が進行、体力と食欲を失い、持病の悪化や感染症の併発も相まって発症するのが典型例だ。

 救急車を呼ぶケースは、基本的には意識障害やショック状態を起こした最も重いⅢ度の熱中症のとき。運ばれる医療機関には1次救急、2次救急、救命救急センターなどの3次救急とあるが、患者の状態によって救急隊員が判断する。では、重症熱中症の患者を対象とする3次救急では、どのような治療が行われるのか。

■患者を体ごと冷水に浸すことも

「重症熱中症では、迅速な冷却、確実な体温管理と臓器障害の治療予防を中心とした集中治療が必須となります。冷却法は一般的には『冷水浸漬』や『蒸散法』が行われていますが、近年では新しい冷却デバイスが開発され、保険適用にもなっています。当院では『ジェルパッド循環冷却法』や『血管内冷却法(サーモガード)』なども併用しています」

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