進化する糖尿病治療法

健康寿命のカギ“ABC”は冬に悪化 糖尿病患者の調査で初確認

「ABC」は冬に悪化(C)日刊ゲンダイ

 血圧とLDLコレステロールはそのままで、HbA1cを8%未満に上げて条件を緩くしても、A、B、Cすべてが目標値を達成しているのは「夏」で23.7%、「冬」になるともっと低い15%です。

 それぞれひとつずつ見ると、これほどには差がないのです。HbA1cの達成率は夏53.1%、冬48.9%、収縮期血圧(上の血圧)の達成率は夏56.6%、冬40.9%、拡張期血圧(下の血圧)は夏73.4%、冬64.1%、LDLコレステロールは夏50.8%、冬47.2%です。

■3つすべての目標値を達成することが重要

 これらの結果をどう考えるか? それは、夏に測定した数値が「悪くない」「基準値以内だけどギリギリ」という状態であれば、冬には基準値を超えている可能性が十分にあるということです。現場でたくさんの患者さんの診察をし、「冬には数値が悪化する人が多い」という印象はありましたが、「夏より冬の方が悪い」とはっきり示したデータはありませんでした。しかし、この「ABCスタディー」で明らかになったのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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