進化する糖尿病治療法

健康寿命のカギ“ABC”は冬に悪化 糖尿病患者の調査で初確認

「ABC」は冬に悪化(C)日刊ゲンダイ

 そして、4678人がどれくらいHbA1c7%未満、血圧130/80㎜Hg未満、LDLコレステロール100未満の目標を達成できているかを調べました。

 なお、それぞれの数値は、ガイドラインで定められている治療目標値です。

 その結果は、いずれの数値も春から夏に近づくにつれ目標値の達成率が上昇し、冬に近づくにつれ達成率が下がるというもの。2年間追った調査でしたが、各月で見ても、HbA1c、血圧、LDLコレステロールいずれも同じような動きをしていました。

 では、夏と冬では? 6~8月を「夏」、12~2月を「冬」とし、見比べると、その差は驚くものでした。A、B、Cのすべて、つまりHbA1c、血圧、LDLコレステロールのすべてが目標値を達成しているのは、「夏」は15.6%。そもそもこれも低いですが、さらに「冬」になると、わずか9.6%しかいません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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