正社員で働く発達障害の人々

発達障害“グレーゾーン”の人が集まるイベントで意気投合

一色宏治さん(提供写真)

 大学院を修了し、IT系の会社に就職した一色宏治さん(41)。もともと理数系の勉強は得意なことから仕事はなんとかこなしていたが、「キャパシティーは仕事でいっぱい。全エネルギーのうち、仕事は6割。それでいて趣味に3割くらい割いてしまい、日常生活の維持には、せいぜい残り1割しか残っていない。必然的に睡眠はメチャクチャになり、部屋も散らかり放題でした」という。

 すぐに横須賀に転勤になり、そして入社9年目、プロジェクトリーダーになったときに大きな壁が立ちはだかる。

 ひとりでSEの仕事をすればよかったそれまでとは違い、チームをまとめ上げ、社内外との折衝やお金の計算もしなければならない。当初は趣味の時間を減らすことで乗り切ろうとしたが、それも限界になってしまう。

「子供のころから、私はキャパシティーを超え始めると『過集中』という状態になって乗り切ろうとする。このときもそうしたのですが、過集中を1週間くらい続けると頭の中が暴走を始めるんですよ。夜も眠れなくなって、頭の中がぐるぐる回転し始める。私はわりと自分の意志で過集中に入れるので、人に話すと『ドラゴンボールのスーパーサイヤ人みたいだね』と言われたりしますが、私のスーパーサイヤ人はあとにツケを回しているだけで、実は戦闘力は上がっていない(笑い)」

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