医師の常套句「様子を見ましょう」の真意

高血圧編<3>“150未満または95未満”はちょっと高めだが…

140/90が薬を使うかどうかの分岐点

 耳にタコでしょうが、どれか一つを改善するだけでも効果があります。毎日、晩酌される方なら2日、休肝日を設ける。運動不足なら、運動してみる。すべてをまとめてやろうとすると大変ですが、どれか一つ、やりやすいことからスタートすると意外とできます。それで血圧が下がると、励みになって、生活改善が持続するのです。

 Ⅱ度の「160~179または100~109」は明らかな高血圧。Ⅲ度の「180以上または110以上」は、すぐに治療しないと、心筋梗塞や脳卒中といった血管病を起こしかねません。

 生活改善による血圧改善効果が出やすいということは、それだけ血管の弾力性が保たれている証拠。高齢になると、大動脈が硬くなり、血液を送り出すときに、血管が膨らみにくくなります。そのため収縮期血圧は上がりやすいのに、拡張期血圧は下がりやすいということが起こる。それが高齢者に多い「140以上かつ90未満」というタイプの高血圧です。

「150未満または95未満」は「ちょっと高めの血圧」ですが、その水準で生活改善で様子を見られるのは、最後のチャンスということです。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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