病気を近づけない体のメンテナンス

腎臓<上>自覚ない慢性腎臓病で心疾患・脳卒中のリスク上昇

夜間頻尿や高血圧による不眠などの症状に注意(C)PIXTA

■超音波検査でハッキリわかる

 血清クレアチニン値は筋肉量や脱水の度合いで腎臓に異常がないにもかかわらず悪く出る場合もある。その場合、超音波検査で調べれば、本当に腎臓が悪いかどうかだいたい診断できるという。

 また、腎機能は軽視されやすく、健診の数値が少しくらい悪くても医師から指摘されない場合もある。例えば、菊池院長が診た患者の中には、こんなケースもある。

 健康志向の高い70代の女性で、健診結果の血清クレアチニン値が高く、自分でGFR推算値を算出すると50台。健診結果を渡されるときに医師から何も指摘されなかったので、心配になって来院してきたという。

「この患者さんを再検査するとGFR推算値は65と正常で、超音波でも腎臓の大きさや形に異常はありませんでした。なぜ健診時の血清クレアチニン値が高かったかといえば、もともとの食生活で塩分制限のしすぎと水分摂取量が少なかったのです。いくら健康志向といっても、高齢者の場合、塩分を控えすぎると体内の水分を保持できず脱水の状態になってしまいます。それで血液が濃くなり、血清クレアチニン値が高かったのです。水分もお茶や嗜好品などを含めて1日に1・5~2リットルは欲しいです」

 腎臓が悪くなく、高血圧や肥満がなければ過度な塩分制限の必要はない。健康な人は塩分と水分が足りない脱水が腎臓に悪いという。このようにCKDの人と健康な人とでは、腎臓を守る食事制限が異なることを覚えておこう。

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