骨と筋肉の疑問に答える

半月板損傷は何もしないと変形性膝関節症になる可能性アリ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 2つ以上の骨が連結されている関節には、関節包で覆われた関節腔と呼ばれる隙間があります。その中には関節包から分泌された滑液で満たされています。滑液は骨摩擦の軽減や軟骨細胞への酸素や栄養の供給、老廃物の排出などを行います。半月板が損傷すると、滑液に炎症性サイトカインが多く集まり、炎症が出て、痛みと腫れが生じるのです。

 さらに「キャッチング」と呼ばれる膝を伸ばすときの引っ掛かり感、「膝くずれ」と表現される膝がガクッと崩れるような感覚などが表れることがあります。もっとも代表的な症状は「ロッキング」です。半月板の一部が関節内に入り込んで起きるもので、一定の角度で屈伸したまま膝を伸ばすことができなくなります。

 半月板損傷というとすぐに痛みが出ると思われがちですが、そうではありません。膝の半月板が摩耗して消失している老人はたくさんいますが、彼らが痛みを感じないのは半月板がなくても大腿骨と脛骨の関節面にある軟骨が残っているからです。

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水井睦

水井睦

みずい整形外科院長。日本整形外科学会認定専門医、同会認定脊椎脊髄病医、同会認定リウマチ医、日本体育協会認定スポーツドクター。1995年北里大学医学部卒業。横浜市立大学医学部整形外科入局。大学病院、国立病院などを経て、2005年から東京・祐天寺にて開院。

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