しかし、日本の腫瘍内科医は、診断と根治治療の選択にあまり関与していないのが現実。がん治療は早期発見を目指し、検診が普及していて、たとえば胃がんならX線か内視鏡で検査を行います。特に内視鏡で異常が見つかると、すぐに異常部位を採取して生検に。ここを担当するのは外科医で、早期の胃がんと分かれば手術です。
便潜血で潜血が認められ、大腸内視鏡検査を行うのは多くの場合、外科医。早期の大腸がんと分かれば、やっぱり手術です。
米国のがんセンターなどでは、状況がまったく違います。初診のがん患者が、外科医のほか放射線腫瘍医、腫瘍内科医の3者面談で患者の意向を聞きながら、治療法が選択されることが珍しくありません。北欧をはじめとする欧州は、放射線腫瘍医と腫瘍内科医が兼務されている国も多くあります。
早期がんは、手術が中心で薬物治療が不要。そうすると、腫瘍内科医は利益相反がなく、中立的な立場のレフェリーです。早期の診断と治療に、腫瘍内科医がかかわるメリットは大きいのですが、日本の早期治療では残念ながらそうなっていません。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵