放っておくと命に関わることも…鼠径ヘルニア最新手術事情

放置しておくと腸閉塞や腹膜炎を起こし…(C)日刊ゲンダイ

 大人の鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、薬もない。手術による治療が唯一の根治法だ。ヘルニアバンド(脱腸帯)を使う人もいるが、単に脱腸を外から押さえ込むことで、一時的に鼠径ヘルニアの症状を軽くしているだけのその場しのぎであり、治すことはできない。むしろ、ヘルニアバンドの圧迫により、皮膚障害や内臓の損傷を引き起こす可能性がある。

 同院が採用した「オンステップ法」はポルトガルの医師が考案した術式で、日本では2016年末から導入が進んでいるという。その中心的な存在が柳院長で、2年間で345例を経験したそうだ。

「鼠径ヘルニアの手術では、ポリプロピレン製のメッシュという人工補強材で患部を補強するのですが、オンステップ法はこのメッシュを、精索をまたいで筋膜の下と筋肉の上という違う層で補強するのが特徴です。こうすると精索でメッシュが固定されるので、メッシュが安定し、神経を傷つけることなく補強することができる。男性にしかない精索を必要とするので、女性には使えない男性独自の術式です」

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