新型コロナで知っておきたいこと ウイルス・ゲノム学者に聞く

新型コロナウィルスの電子顕微鏡写真(提供)米国立アレルギー感染症研究所

【4】ウイルス陽性だった人が陰性になり、再び陽性になるケースが報告されています。これは再感染ですか? そ
れとも再活性ですか? あるいは一人の人がインフルエンザのA型、B型にかかるように型の違いによるものですか?


宮沢 再感染ではないと思います。検査に問題があった可能性もありますが、恐らくは気道からは姿を消したウイルスが腸管など他の臓器に隠れていて、何かの拍子に再活性化して戻ってきて検知されたのでしょう。実際、咽頭で消えた新型コロナウイルスが腸管で見つかったケースが多数報告されています。そもそも動物のコロナウイルスは持続感染しやすく、体内から完全にウイルスが消えないものが多いのです。猿でウイルスが感染後完全に消えたという研究がありますが、4頭の結果ですから普遍性があるとは思えません。動物コロナウイルスが厄介なのは抗体ができても体内のウイルスがすべて消えるわけでなく、他の個体に感染させる力を持ち続ける場合があることなのです。再感染はありえますが、その場合は1カ月程度で免疫の効力が失われるとは考えにくいのです。また、新型コロナの場合、型が表す塩基配列の違いは、今のところそれほど大きくありません。現時点で型ごとに感染する可能性は低いと思います。

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