骨と筋肉の疑問に答える

疲れやすく仕事に集中できない…原因は「姿勢」は本当か?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 しかし、ご存じのようにこの姿勢を長く続けると疲れます。先に述べたように血液循環が停滞して筋肉への酸素供給量が減って筋疲労が起きるからです。では、筋疲労を軽減するにはどうすればいいのでしょうか? 立ち姿勢では足を広げることです。そうすれば支持基底面が広がるため、安定します。さらに片側を斜め前に出す、いわゆる“休め”の姿勢の方が、血液循環が促進されるため、さらに疲れなくなります。

 当然のことですが、立ち姿勢が悪い人は筋疲労が強くなります。立位姿勢を100とした場合の第3腰椎椎間板への内圧変化を調べた調査では、前傾の立ち姿は、負担の少ない立ち姿に比べて1・5倍になることが明らかになっています。

 多くの人は立っているより座っている方が楽だと考えますが、腰への負担を考えた場合、これも思い込みに過ぎません。良い姿勢で座ったとしても立位の1・4倍、パソコン作業のように椅子に浅く座って背骨が丸くなり、顔が前に出る悪い姿勢を取ると、1・85倍にもなるといわれています。また、座った状態で机の下の重い荷物を持ち上げようとすると立位の2・75倍もの負担が腰に加わります。

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水井睦

水井睦

みずい整形外科院長。日本整形外科学会認定専門医、同会認定脊椎脊髄病医、同会認定リウマチ医、日本体育協会認定スポーツドクター。1995年北里大学医学部卒業。横浜市立大学医学部整形外科入局。大学病院、国立病院などを経て、2005年から東京・祐天寺にて開院。

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