“いきなりエイズ”増加の可能性 コロナで医療体制にひずみ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「一番の心配は、保健所での検査が休止することで、早期発見ができずに、エイズ発症後にHIV感染を知る、“いきなりエイズ”の患者さんが増えることです。ご存じのように、HIVに感染してもいまは薬によってエイズ発症を抑えることができますが、発症してからの治療はむずかしくなります」

 国内のエイズ発生動向によると、HIV感染者とエイズ患者を合わせた新規報告者数は2018年に1317件。「いきなりエイズ率」は例年30%程度で推移しているが、今年はその割合が上昇するかもしれない。

「国内のHIV陽性の報告の約45%が保健所などの検査施設で、残り55%が医療機関です。検査施設休止の影響は大きいでしょう」

 なかには民間の郵送検査を利用しようとする人がいるかもしれない。しかし、民間の郵送検査には検査精度や個人情報管理などの基準がなく、国の承認制度もない。偽陽性が出る可能性もある。

「陽性が出たときはその後、検査機関や医療機関で、必ず『確認検査』を受ける必要があります。感染の不安を取り除きたいなら、最初から保健所や医療機関で検査を受けた方が確実です。保健所で検査が休止されていたとしたら、勇気を出して医療機関を受診することです」

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