医者も知らない医学の新常識

原因不明の体調不良やだるさが続いたら…「副腎不全」に注意

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 原因不明の体調不良や体のだるさに悩んでいませんか? それはひょっとすると、副腎のホルモンの低下に原因があるかも知れません。

 副腎というのは腎臓の上にある小さな臓器で、その働きはホルモンをつくり、分泌することです。副腎が分泌するホルモンの代表が、糖質コルチコイドのコルチゾールです。このコルチゾールはステロイドホルモンの一種です。ステロイドというと、湿疹の塗り薬や膠原病などの飲み薬をイメージする方が多いかも知れませんが、それは合成されたステロイドで、コルチゾールは人間の体が自分でつくっているステロイドなのです。ステロイドはストレスと戦うホルモンです。体に病気や過労などのストレスがかかると、それに耐えるためにステロイドホルモンが分泌されます。

 ところが、副腎の働きが悪かったり、副腎のホルモンを刺激する下垂体という脳の下の部分に異常があると、副腎機能低下症という状態になって、ストレスにさらされても十分な量のステロイドホルモンが出なくなるのです。副腎不全になると、体はだるく重く感じ、進行すると血圧が低下して、低血糖になり、血液のナトリウムも低下します。そうした検査値や症状からこの病気を疑って、ステロイドの補充を行うと、症状は速やかに改善しますが、放置すると命に関わるような事態にもなりかねないのです。

 原因不明のだるさが続く時は、ホルモンの異常を疑う必要があるのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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