医者も知らない医学の新常識

慢性疾患の薬が原因で「こむら返り」が起こるケースがある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 夜などに急に足の筋肉が硬直して痛む、「こむら返り」に悩まれている方が多いと思います。「足がつる」という言い方の方が一般的かもしれません。クリニックの外来でも毎日1回はその悩みを聞いています。

 この現象は足の筋肉の一時的なけいれんですが、その原因は必ずしも明らかにはなっていないようですが、足の筋肉に疲労がたまったり、足が冷えたりすると起こりやすいのは間違いありません。夏に夜、冷房をつけていると、足の冷えから起こることもあるようです。病気としては糖尿病や肝臓病などで、起こりやすいということも分かっています。そして、それ以外に、こむら返りの原因として無視できないのが薬の影響です。

 コレステロールを下げるスタチンという薬で、こむら返りが起こることがあります。

 また、利尿剤といって、高血圧や心臓病に使用する、尿の量を増やす薬も、血液のカリウムという電解質のバランスを崩して、こむら返りの原因になると報告されています。それ以外に気管支を拡張させる喘息の吸入薬も、こむら返りの原因になります。これは喘息の薬が交感神経を緊張させる性質があり、それが筋肉の運動神経の刺激につながっているらしい、と想定されています。

 このように多くの慢性病の薬がこむら返りの原因になります。お医者さんに通っていて、こむら返りのある人は、主治医の先生に一度相談してみるのがいいと思います。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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