手術時に装着する手袋も、感染症対策から発展してきたもののひとつです。いまは滅菌処理が施されたうえ、天然ゴムアレルギーを避けるためにラテックスフリーおよびパウダーフリーの手袋が使われています。
さらに、WHO(世界保健機関)をはじめとした国内外の「手術ガイドライン」では、手袋の二重装着が推奨されています。抗生物質が効かないMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などによる感染症を防ぐためです。
外科医の中には、手洗いなどで使われる消毒液やアルコール製剤に対して免疫が働き、アレルギー反応を起こす体質になってしまう人がいます。これは「感作」と呼ばれる状態で、2度目、3度目になるとより強い反応が出るようになります。そうしたアレルギー反応によって、手にMRSAなどの耐性菌が付着した状態が残ると、術中に使用する手術機器操作による影響から指先が触れる部分で意図せずに耐性菌を置いてきてしまい、感染症を引き起こす原因になるのです。
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